
患者さんの安全を守る、
世界最高水準の滅菌システム
当院では、患者さまに心から安心して治療を受けていただけるよう、衛生管理を最も大切な取り組みのひとつとして位置づけています。
治療で使用する器具は、すべての患者さまごとに丁寧に洗浄・滅菌し、常に清潔な環境を保っています。また、院内の空気や水など、目に見えない部分にも配慮し、快適で安心できる空間づくりを心がけています。
私たちは「清潔さ」と「安全性」が医療の基本と考え、世界基準の滅菌システムを導入しています。
本ページでは、当院が日々取り組んでいる滅菌体制と衛生管理へのこだわりをご紹介します。
1. 歯科治療における「滅菌」の重要性
「消毒」と「滅菌」は全く違います
皆さんが日常で使われる「消毒」や「殺菌」という言葉と、医療現場で求められる「滅菌」は、安全性のレベルが全く異なります。
消毒・殺菌

特定の菌やウイルスの数を「減らす」
滅菌(医療レベル)

あらゆるウイルス・細菌を
「完全に死滅・除去」
お口の中に入る器具は、すべてこの「滅菌」レベルの処理が不可欠です。当院では、使用するすべての再利用器具に対して、この最高レベルの処理(無菌性保証レベル10⁻⁶)を行っています。
2. 当院が実現する「完全な滅菌体制」
現代歯科医療の「滅菌」における課題と解決策
実は、これまでの一般的な滅菌器(オートクレーブ)だけでは、すべての器具を「滅菌」することは困難でした。
オートクレーブは高温・高圧の蒸気を使うため、金属製器具には非常に有効です。しかし、現代の歯科医療では、口腔内スキャナー、精密な電子機器、高機能なプラスチック製品など、 熱に弱いデリケートな器具 が急速に増えています。
これらの器具は高温に耐えられないため、やむを得ず「消毒」レベルの処理に留めざるを得ない、という安全上の「隙間」が存在していました。
死角を作らない、2種類の最先端滅菌器
当院では、この安全上の「隙間」を完全に埋めるため、特性の異なる2種類の最先端滅菌器を導入しています。
- DACプロフェッショナル(高圧蒸気滅菌器):熱に強い器具を担当
- STERLINK U-510(低温プラズマ滅菌器):熱に弱い器具を担当
この2台体制により、当院では例外なく、すべての器具を最高水準で滅菌する「完全な滅菌サークル」を実現しています。
当院の「完全な滅菌サークル」
| 熱に強い器具 金属製器具、ハンドピース ガーゼ、繊維製品など |
↓
| DACプロフェッショナル (クラスBオートクレーブ) 高温・高圧蒸気滅菌 |
| 熱に弱い・精密な器具 口腔内スキャナー、電子機器 プラスチック、3Dプリントガイド |
↓
| STERLINK U-510 (低温プラズマ滅菌器) 低温(約55℃)滅菌 |
すべての器具を最高水準で滅菌し、患者さんの安全を守ります。
3.【機器紹介①】世界最高基準クラスB準拠「DACプロフェッショナル」

「DACプロフェッショナル」(ドイツ・デンツプライシロナ社製)は、高温の蒸気を用いて滅菌を行う装置(オートクレーブ)です。これは、数あるオートクレーブの中でも、最も厳しい欧州規格EN13060において最高位の「クラスB」に分類される高性能滅菌器です。
「クラスB」とは? 従来の滅菌器との決定的な違い
滅菌器には性能によってクラスN、クラスS、クラスBという分類があります。「クラスB」は、ガーゼのような繊維製品から、歯を削るハンドピースのような複雑な内部構造を持つ器具まで、 あらゆる種類の器具を確実に滅菌できる能力を持つものだけに与えられる最高基準です。
見えない内部まで確実な理由:「真空」の力
従来の滅菌器(クラスNなど)では、複雑なチューブや器具の内部に空気が残ってしまい、蒸気が隅々まで行き渡らないことがありました。
DACプロフェッショナルは、滅菌を始める前に、強力なポンプで装置内と器具内部の空気を何度も強制的に抜き取り、「真空」状態を作り出す「分画プレバキューム」という高度な技術を搭載しています。これにより、高温の蒸気が器具の最も細かな部分にまで瞬時に行き渡り、完全な滅菌が可能になります。
クラスB滅菌器(分画プレバキューム)の仕組み
従来の滅菌器 (クラスN/Sなど)

内部に空気が残り、蒸気が入らない
複雑な構造の内部は
不完全な滅菌になる可能性がある
クラスB滅菌器 (DACプロフェッショナル)

事前に「真空」を作り、蒸気を充満
蒸気が内部の隅々まで行き渡り
完全な滅菌が可能
【主な対象器具】
金属製の基本器具、歯を削るハンドピース(タービン等)、インプラント用手術器具、ガーゼ・繊維製品など
4.【機器紹介②】先進医療機器のための滅菌技術「STERLINK U-510」

「STERLINK U-510」は、これまでオートクレーブの高温(121℃~134℃)に耐えられず、滅菌が困難だったデリケートな器具のために導入した、最新鋭の「低温プラズマ滅菌器」です。
低温で、あらゆる精密機器を「滅菌」可能に
この装置は「低温過酸化水素ガスプラズマ」という最先端技術を利用します。 約55℃以下の低温で処理を行うため、熱に弱いプラスチック製品や、高価で精密な電子機器を傷めることなく、確実な滅菌を可能にします。
これにより、先進的な治療に使用する器具の安全性が飛躍的に向上しました。
安全で強力な「プラズマ」技術
真空状態の中で過酸化水素ガスを「プラズマ」状態に変化させ、ウイルスや細菌のDNAを直接破壊する強力な粒子(フリーラジカル)を発生させます。滅菌後は無害な「水」と「酸素」に分解されるため、患者さんにとっても、私たちスタッフにとっても、環境にとっても極めて安全です。
また、滅菌サイクルが約17分~24分と非常に迅速なため、常に滅菌済みの器具を準備できる体制を支えています。
【主な対象器具】
口腔内スキャナーの先端、電子部品を含む精密機器、プラスチック製器具、3Dプリンター製のサージカルガイドなど
5. 日々の取り組みと患者さんへの約束
標準予防策(スタンダードプリコーション)の実践
私たちは「標準予防策」という感染管理の原則に基づき、日々の診療を行っています。これは、感染症の有無にかかわらず、すべての患者さんに対して常に最高水準の感染対策を適用するという考え方です。
患者さんごとの交換・滅菌の徹底
ハンドピース(歯を削る機械)を含むすべての治療器具は、患者さんごとに交換し、滅菌処理を行います。滅菌後は専用のパックに入れ、使用直前まで無菌状態を保ちます。
使い捨て(ディスポーザブル)製品の活用
グローブ(手袋)、エプロン、コップ、注射針など、滅菌できないものはすべて使い捨て製品を使用し、患者さんごとに廃棄します。
